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金昌寺の代表的な石仏

ここでは、秩父札所四番金昌寺の代表的な石仏について紹介します。
ここで、紹介している石仏以外にも沢山の石仏が並んでいますので、金昌寺を訪れた際には、是非、時間をかけて見てみる事をおすすめします。

慈母観音像

秩父札所四番金昌寺の子育て観音

札所四番 金昌寺の観音堂に安置されているこの像は、寛政四年八月十二日(1791年) 江戸通油町の豪商吉野屋半左衛門という人の寄進とされています。
秩父札所の石仏の中でも傑作と言われていて、礼拝像としては、珍しい母を連想させる温和で親しみやすい姿をしています。
この像は、江戸の著名な浮世絵師の原画によるもので、匠な石工の技術が合わさって芸術性が高まったのではないでしょうか。

この慈母観音像には、こんな言い伝えがあります。
寄進者の吉野屋半左衛門は、50歳になっても子宝に恵まれなかったそうです。
夫婦で秩父札所巡礼をしている時に札所四番 金昌寺の本尊、十一面観音の霊験を聞いたと言います。
その後に吉野屋半左衛門の妻が47歳の時に子宝に恵まれたそうです。
その感謝の気持ちの為に慈母観音像を寄進したと言われています。
この慈母観音像の優しい顔、表情は、子宝に恵まれ、お礼参りに来た時の吉野屋半左衛門の妻の顔、表情をモデルにしたと言われています。
この慈母観音像は、今でも秩父地方の人々に深く信仰され「子育ての観音様」と呼ばれています。

十一面観音像

秩父札所四番金昌寺の十一面観音像

秩父札所四番 金昌寺のご本尊は、十一面観音なのですが、そのせいなのでしょうか?
ここ金昌寺にある石仏の中では、一番大きくて立派な石仏です。
像の台座を支える邪鬼や牡丹を浮き彫りした台座が見事で、当時の石工の技術の高さに驚きます。
この像の裏側に金色に輝いた丸い光背があり、上屋も大きく立派であったそうですが、災害で焼失し、しばらく雨風にさらされ放置されていたようです。
今では、金色に輝いた丸い光背は、復元して元通りになっています。
この観音像には、年号も寄進銘もありません。
恐らく、当時この観音像を作った石工が自身の技術を後世に伝える為の力作なのでしょう。

禁酒地蔵

秩父札所四番金昌寺の禁酒地蔵

この地方では、この像の事を「酒樽のお地蔵さん」と呼んでいるそうです。
元々、地蔵菩薩に禁酒地蔵などの名称はありません。
この禁酒地蔵は、徳利を持ち、頭上に大きな盃をかざした人で、お地蔵さんではありません。
この地方の名主がモデルとされています。
この名主が代官所で酒の失敗をし、以来禁酒の願をかけ、観音様の功徳によって、ついにその目的を果たし、盃を頭上にかざした姿は、酒は、頭に飲むと失敗が多いと言う事を後世に戒めた記念の像だとされています。

禁酒地蔵が腰かけている酒樽は、実は、中が空洞になっており、樽の下の部分には、穴があいています。
もしかしたら、その昔は、この酒樽の部分に水を流して、樽の下にある穴から水を流していたのかも知れませんね。

亀の子地蔵

秩父札所四番金昌寺の亀の子地蔵

寛政三年四月吉日(1791年) 江戸横山町二丁目丹波屋五郎兵衛の寄進とされています。
古くは、十一面観音像の脇に池があり、池のほとりに安置されていて、亀の口から噴水が池に注ぎ、当時としては、珍しい石仏でした。
大正十年の現在の所に安置されたと言います。
六角の台座の正面に阿弥陀如来と観世音菩薩と勢至菩薩を刻んでいる事により、阿弥陀三尊による来世の安穏を祈願して造設した事がうかがえます。
この石仏は、建立当初より丹波屋の子孫が上屋を奉納し、丹波屋は、現在でも繁栄していると言います。

丹波屋さんのお店のウェブサイト

大正十年に現在の場所に安置した時は、丹波屋十二代 金井五郎兵衛が奉納したと言われています。

羅漢像

秩父札所四番金昌寺の羅漢像

秩父札所四番 金昌寺の山門の上に多くの羅漢像が並んでいます。
羅漢とは、釈迦の弟子で釈迦の教えを守り、尊敬される境地に至った者です。
羅漢像はどれも自由な行動や表情をしており、とても楽しそうです。
一体毎に様々な恰好をしていて、禅の厳しい修行によって、自由な境地に到達した姿がこれを作った石工の想像の赴くままに造形されています。
とても楽しそうで、愉快でたまらないと言った感じの羅漢像は、山門の上から秩父札所礼者を色々な形で歓迎してくれています。

七面相

秩父札所四番 金昌寺の観音堂の右側を登った所に六角堂がある。
そこに七体の石仏がある。
この七体の石仏を七面相と呼んでいます。
羅漢の一部なんでしょうか?
昔から七体組んで置かれているそうです。
泣いたり、笑ったり、考えたりと、人間が一生のうちに誰でも遭遇する表情の変化を表現したものと伝えられています。
この七面相は、寺に普遍的な因果応報や地獄極楽の教えを現実的に明快に表現した教化仏だと言えます。
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